ちくわやかまぼこなどの練り物の製造を生業(なりわい)としていた文吉は、ある日、高価な中国から輸入した「えびせんべい」を口にして、一念発起の思いで、「えびせんべい」の製造に取りかかったのです。
文吉は、乾燥エビの代わりに、良味を加えることができる生エビを使い、それを肉引きで引いて、じゃがいもの澱粉(でんぷん)を混ぜあわせ焼きました。この改良によって、エビ本来のうまみが増したのです。
そして、文吉の「えびせんべい」創案からさほど時を経ず、画期的ともいえる、エビの多量処理の工夫をしたのが、伊勢富田の地から来移していた通称“ひげ貞”です。
ひげ貞は、ヂャカラン蒸し器で多量のエビを処理し、包丁で細かく切ってから澱粉に混ぜて焼く製法を考案。この製法によって「えびせんべい」を多量に、しかも安価に販売する道が開かれたのです。
「えびせんべい」の創始発案者“かまぼこ文吉”と、それを世に広めた “ひげ貞”。二人の偉大な先駆者によってえびせんべいは生まれました。と語り次がれています。
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